「おいしい信州ふーど」レポート

須坂の名物「みそすき丼」は、各店が創意工夫を凝らした味

「みそすき丼」は、須坂市内の飲食店やみそ醸造所でつくる「信州須坂みそ料理乃會」が開発して、2007(平成19)年に誕生したご当地メニューです。明治から昭和にかけて、製糸業が栄えていた須坂。当時、買い付けのために全国各地から集まった商人をもてなすために、みそで味付けをしたすき焼きをふるまっていたことをヒントに、「大正浪漫(ロマン)の味」を復活させました。条件は、市内に4軒ある老舗みそ店のみそを使った割り下と、村山早生牛蒡を使うこと。そこに各店の創意工夫を加えた、バラエティー豊かな味が楽しめます。

松葉屋そば店 代表 松村憲道さん

手打ちそば店「松葉屋」のみそすき丼は、村山早生牛蒡と、牛肉、玉ねぎ、しめじを煮て、上に温泉卵を落とし、ネギを散らします。5代目・松村憲道さん曰く、「オーソドックスなすき焼きを、そのまま丼にした」とのこと。メニュー開発のため、皆で集まった際に、見本として作っていたのが松村さんだったそうです。「2つの条件さえ守れば、あとは自由。御膳や柳川風、洋風のオムライスなどもあって、それぞれの店の特徴がよく出ています」と話します。みそすき丼は、もともと「須坂の名物を作ろう」と考えられたもの。当初は観光客を想定して、県外に向けた発信に力を入れていたこともあり、地元ではあまり知られていませんでした。「それでも、15年続けていると徐々に広まってきていますかね。もうちょっと、地元の人にも食べてもらう機会が増えればいいかな」とも。

同店の創業は1887(明治20)年。始まりは食堂で、そこからそばを出すようになり、先代からは「そば店」として営業しています。みそすき丼のほか、夏場には同じく伝統野菜の八町きゅうりの漬物を出すこともあるそう。「伝統野菜は安定供給が難しいので、なかなか定番メニューにすることはできませんが、手に入るタイミングでなるべく使っていきたいと思っています」と話します。


松葉屋そば店
TEL:026-245-0418
住所:須坂市常盤町702


⇒ 信州の伝統野菜「村山早生牛蒡」(「おいしい信州ふーど」図鑑)

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