「おいしい信州ふーど」レポート

辛味の奥に甘さがある「ねずみ大根」。味の秘密は寒さにあり

「ねずみ大根」は、まさにその名の通りの見た目を持つ大根。しもぶくれで短く、ネズミの尻尾のような根が付いています。地大根(辛味大根)の一種で、地元では中之条(なかのじょう)地区で作られていることから、「中之条(なかんじょ)大根」とも呼ばれています。ちなみに、皆さんが思い浮かべる、スーパーなどに並んでいる大根は、「青首大根」という種類で、大根の生産量の9割以上を占めています。

ねずみ大根の大きさは、根茎が7センチ、根が15センチ程度で、重さは250~300グラム。水分が少なく、きめの細かい肉質で、歯応えがあります。丸い葉のものが多い地大根ですが、ねずみ大根の葉はギザギザで、細長いのが特徴です。例年、8月下旬に種をまき、収穫するのは11月下旬ごろ。さかき地場産直売所運営組合の組合長・町田泉次さんは「60日くらいで成長しますがそこで抜かずに、1カ月くらいそのままにしておきます」と話します。その理由は、ねずみ大根自身が寒さから身を守ろうと、内部にでんぷん質を蓄えることで、辛味の奥に甘さが出るため。聞けば、早く抜いてしまうと、ただ辛いだけの味になってしまうとのこと。「あまもっくら」と言われる独特の味わいの秘密は、ここにあるのです。

さかき地場産直売所運営組合 組合長・町田泉次さん

1999(平成11)年に、地元の生産者と飲食店が、坂城町ねずみ大根振興協議会を設立。生産振興やPR活動のほか、食農教育の役割も担っています。毎年11月には、「ねずみ大根まつり」を開催。さかき地場産直売所「あいさい」で販売や畑での収穫体験もあり、県内外から多くの人が訪れます。「今年は、葉がみっしり生えていて、良い出来」と町田さん。地元では、しぼり汁を使った伝統食「おしぼりうどん」のほか、漬け大根にしたり、葉も煮たりして食べていて、中でも町田さんがお勧めするのはかき揚げとのこと。「食べ方もいろいろと研究して、より多くの人に楽しんでもらえるように紹介したい」と意気込みます。

さかき地場産直売所「あいさい」

坂城町ねずみ大根振興協議会
URL:https://nezumi-daikon.com/

さかき地場産直売所あいさい
TEL:0268-75-8267
住所:埴科郡坂城町中之条56-7


⇒ 信州の伝統野菜「ねずみ大根」(「おいしい信州ふーど」図鑑)

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