「おいしい信州ふーど」レポート

「芝平なんばん」は、人を呼び込む野菜になれる

この秋、JR伊那市駅近くに移転オープンするイタリア料理店「kurabe CONTINENTAL DELICATESSEN(クラベコンチネンタルデリカテッセン)」。伊那谷野菜をメインにした料理を楽しめます。フランスで修業したオーナーシェフの渡邊竜朗さんは、「信州伊那谷ガレット協議会」の代表も務め、ガレットに適したそばの栽培に挑戦するなど、伊那谷の“食のポテンシャル”を引き出すために尽力しています。

「高遠てんとうなんばん」や「芝平なんばん」を使うことで、この地ならではのペペロンチーノができるという渡邊さん。芝平なんばんを使ったものは、「熟していない」「青い」という意味を持つフランス語を用いて「ペペロンチーノヴェルデ」と名付けました。辛さよりも香りが大事だというペペロンチーノ。低温から少しずつ温度を上げて、じっくり香りをオイルに移していきます。芝平なんばんは、北信地域の伝統野菜である「ぼたんこしょう」のような爽やかで「青い」香りがあります。生パスタも、主に伊那谷産や県内産の小麦粉で作っているため、伊那谷野菜と合わせて「90%以上信州産」という一皿です。「ドライなものと異なり、生のトウガラシは今しか、ここしか食べられないもの。人を呼び込む野菜になるといいなと思っています」

芝平なんばんと伊那谷野菜のペペロンチーノ

店では以前から、毎週金曜日の夕方に「きんせり市」を開いています。対面販売ではなく、テーブルや棚に並んだ伊那谷野菜を、お客さんと生産者が同じ目線で見て、話しながら自由に選べるのが特徴。「同じ方向から見ることで、売り買いだけではない交流が生まれます。野菜が主役の『野菜サロン』です」と渡邊さん。店の仕入れも金曜日を軸にしています。「料理人は、季節によってメニューを変えないといけないと思っているところがあって、構成に労力を費やして消耗してしまうこともあります。でも、メニューを固定しても、旬の野菜をごく自然に入れていけば、そのときしか食べられない料理ができあがります」。それは、生産地と近い飲食店の、理想の形かもしれません。移転後も下屋の下の広いスペースを活用して、これまで同様に「きんせり市」を開催予定。新しい店舗でも、伊那谷野菜が農家と料理人、そしてお客さんをつないでくれることでしょう。

カウンターには伊那谷産を中心とした食材を並べ、その場で調理して提供する予定とのこと
オーナーシェフ 渡邊竜朗さん

kurabe CONTINENTAL DELICATESSEN
住所:伊那市西町4884-1
URL:https://facebook.com/kurabeCONTINENTALDELICATESSEN

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