「おいしい信州ふーど」レポート

特別なときだけではなく、日常でも。南信州のシードルをもっと広めたい

飯田市内の中央にある「りんご並木」は、13種類26本のりんごの木が植えられています。街のシンボルとなっている大通りに「natural kitchen TESSHIN(ナチュラルキッチン テッシン)」がオープンしたのは2009年。同じ通りに飲食店6店舗を展開する「フィラーレ」(飯田市鼎中平)が運営しています。ランチタイムは自家製の生パスタをメインにした「パスタランチ」や「特製カレーランチ」などのセットメニュー、夜はコースが楽しめます。店長でシェフの宇佐美健一さんは「パーティーや宴会など、団体で利用してもらうことも多いです」と話します。

シードルを扱い始めたのは3、4年前。現在は、市内唯一の酒蔵「喜久水」が地元のリンゴ100%で造ったシードル「Kikusui Cidre」をはじめ、周辺地域で造っているものも含め、多いときで5種類ほどを用意しています。「Kikusui Cidre」は、宇佐美さん曰く、リンゴらしさをしっかり感じられる味。手頃なこともあって飲み放題での提供や、乾杯酒として出すこともあります。そのほかのシードルは、主に知り合いの生産者から仕入れています。ヨーロッパのものと比べると、「飯田、下伊那のシードルはさっぱりしていてクセがなく、どんな料理にも合わせやすい」と宇佐美さん。店では地元のリンゴを使った一品と合わせて提供することもありますが、ワサビや漬物など独特な風味を持つものや、天ぷらなどの和食と楽しむのもおすすめとのことです。

5月には、「ナガノシードルコレクション」がりんご並木で開催されました。今年で3回目となるイベントは、県内30社を超えるシードルやリンゴジュースが集まり、多くの人でにぎわいました。「イベントは盛況でしたが、日常になるのはまだまだ。シードルを造っている人たちと、消費者の温度差は大きいと感じています」と宇佐美さん。それでも、地元のスーパーや酒店、コンビニなど、購入できる場所は少しずつ広がっています。「当店は居酒屋ではないので、お酒を直接おすすめするのは難しい。それでも、もっとシードルのおいしさを広めるために、力になれればと思っています」


natural kitchen TESSHIN
TEL:0265-48-0150
住所:飯田市本町2-1
営業:11:30〜14:30 / 17:30〜22:00
定休:不定休

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