「おいしい信州ふーど」レポート

「おいしい信州ふーど」を訪ねて 糸萱かぼちゃ編

茅野市北山糸萱地区

糸萱かぼちゃが栽培されているのは、八ヶ岳山麓の茅野市北山糸萱地区。佐久・八千穂から茅野市を結ぶメルヘン街道(国道299号)沿いにある、108戸の集落です。周辺には横谷峡を中心とした蓼科中央高原があり、別荘も数多く並びます。

訪ねたのは、糸萱かぼちゃ生産者組合の代表・島立雄幸さん。例年、9月に収穫するという糸萱かぼちゃですが、今年は少し早めとのことです。

糸萱かぼちゃ生産者組合の代表・島立雄幸さん

「これだけはずっと栽培しろ」-地域の人たちを救った糸萱かぼちゃ

糸萱かぼちゃは明治時代以前から栽培されてきました。1905(明治38)年、1953(昭和28)年と凶作に見舞われたときは、米の代わりとなり、地域の人たちの大切な栄養源となったそうです。「集落でもずっと、『かぼちゃだけは栽培しろ』と言い伝えられてきました」と島立さん。現在、集落内の6割ほどで栽培が行われています。

普通のかぼちゃと違うのは、まずは見た目です。とても硬い皮は薄い水色。サイズは通常2~4kgで、大きいものは6kg近くあり、持ってみると、ずっしりとした重量感があります。食べてみると、かぼちゃならではのホクホク感!あとにはきめの細かい自然の甘さが残ります。かぼちゃは緑黄色野菜で、ビタミンAをはじめ、ビタミンEやB1、B2、Cや食物繊維が豊富。それに加えて、糸萱かぼちゃは普通のかぼちゃよりも鉄分が2倍、カリウムやマグネシウムも多く含まれていることが成分分析の結果、分かりました。

このようなかぼちゃができるのは、糸萱という土地に秘密があります。戦前に鉄鉱石が採掘された地層と隣接している土壌と、標高1000~1100メートルという高原気候。この二つがあるからこそ、おいしい糸萱かぼちゃができるのです。しかし長年、市場に出荷されるものはわずかで、ほとんどは自家用に食べられていました。2014年、信州の伝統野菜の認定を目指して県に申請。翌年、認定を受けてからは出荷量が増えました。茅野市内の小中学校の給食に登場したり、高級割烹やホテルの高級フレンチに使われたりもしています。

  • ポニーハウスサラダガーデン
  • 佐藤保子さん

蓼科中央高原で、無農薬有機栽培西洋野菜農園「ポニーハウスサラダガーデン」を営む佐藤保子さんは「今年は最高の出来」と笑顔を見せます。6年前から栽培を開始し、現在は地域で最も多く栽培しています。「ホクホクでなめらかなので、スープやお菓子にもいいです。切って煮るだけでもベタッとせず、ホクホク感が楽しめます」と佐藤さん。10種類以上のトマト狩りを楽しめるビニールハウスの横にある直売スペースでも人気の一品です。

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