信州には、 時代とともに地方で生まれた品種が、育てにくい、収量がとれないなどで淘汰されていく中で、 限られた地域で今日まで脈々と伝えられてきた貴重な伝統野菜が数多くあります。 長野県ではこれらの野菜を「信州の伝統野菜」として認定し、 保存と継承に取り組んでいます。
「信州の伝統野菜」は、 その地域の気候風土に適応した方法で栽培された野菜です。 地域の食文化とともに育まれ、 他にはない味と形が特徴で、 その料理法や味付けも文化性に富んでいて、 まさに地域の知恵の宝庫といえます。
現在(2020年)、 77種類が「信州の伝統野菜」に認定されています。
外見はピーマンのようで、 ほどよい辛さを持ちます。 丸焼き、 味噌漬け、 天ぷら、 煮物のほか、 伝承地域周辺の郷土食「やたら」にも用いられています。
伝承地域:中野市豊田・信濃町
販売時期:7月中旬〜10月中旬
江戸時代に薬用として長崎から伝わったとされ、 辛みの中にある適度な甘みが特徴です。 しぼり汁は郷土食の「おしぼりうどん」のつけ汁として用いられます。
伝承地域:坂城町・千曲市
販売時期:10月下旬〜12月上旬
昭和20年代から須坂市上八町地区で生産が始まりました。 表面の白い粉が特徴で、 皮が薄くて肉厚、 甘みもあり生食が一番ですが、 浅漬けや味噌漬けにも用いられています。
伝承地域:須坂市
販売時期:7月上旬〜9月上旬
煮崩れしにくいことから煮物、 蒸し料理に適しています。 明治時代から栽培され、 北信濃のお盆でお供えする「おやき」の具としても用いられてきました。
伝承地域:小布施町
販売時期:7月中旬〜9月下旬
須坂市村山地区を中心に生産されています。 色が白くて柔らかく、 アクが少ないのが特徴。 煮物や天ぷらのほか、 須坂名物の「みそすき丼」の具としても欠かせません。
伝承地域:須坂市村山
販売時期:8月下旬〜12月下旬
大きいもので長さ30センチメートル、 重さ1キログラムにもなる巨大なナス。 130年前ほどから栽培が始まりましたが、 主に自家消費だったことからほぼ原種のまま現在に伝えられています。
伝承地域:天龍村
販売時期:7月〜10月
水害が多かった飯山市木島坂井地区で、 江戸時代から栽培されてきました。 煮ころがし、 けんちん汁などに用いられ、 ホクホクとしたおいしさが魅力です。
伝承地域:飯山市木島
販売時期:10月上旬〜11月中旬
松本市山辺地区で江戸時代から栽培されてきました。 肉質が柔らかく、 甘みも強いことから、 特に鍋物などに向いています。
伝承地域:松本市・山形村
販売時期:11月中旬〜12月下旬