信州サーモンは、 すべてが長野県水産試験場で生まれます。 ニジマスの卵をブラウントラウトの精子で受精させ、 流水に移してから約20日で卵の中の稚魚の眼が確認できるようになり、 約1ヵ月でふ化します。 稚魚となった信州サーモンは屋外の水槽へと移され、 アルプスの伏流水がかけ流されるなか、 のびのびと育てられます。
信州サーモンの採卵は1年に一度。 だから、 もし病気が流行すれば稚魚は全滅し、 信州サーモンが市場に出ない年が発生してしまう危険があるので、 職員は我が子のように丹精込めて育てています。 デッキブラシや小網などの飼育用具は池ごとにすべて分け、 病原体の持ち込みを防ぐために、 職員でも着替えなければ施設に入れません。
「一過性でなく、 いい品質の魚として生産者と協力しながら定着させていきたい」そんな思いのもと育てられ、 県内の養魚場へと運ばれていくのです。
バイカモ(梅花藻)が揺れる美しい湧き水を引き込む養魚場。 「水産試験場の試食会で初めて食べてみたら、 本当においしかったんだよ。 これはいけると思って始めたんだ」と、 信州サーモンに出会ったときのことを養魚場のご主人は語ります。 水産試験場から供給される稚魚を年級ごとに水槽にわけ、 朝晩2回エサを与え、 1日に4〜5回は水の引き込み口に水草が絡まっていないか、 適量の水が引き込まれているか確認します。 その作業は1日も休むことがありません。 そして、 2〜3年で出荷を迎えます。
よりおいしく、 気軽に食してほしいと、 水槽から揚げたらすぐに3枚におろすなど下処理をして、 真空・冷凍処理を施して流通させています。 また、 仲卸や飲食店と協働で年に10回ほどイベントも開催。 「地元の人に食され、 根づいてこそブランドになる」とご主人。 そんな思いで、 日々おいしい信州サーモンを育てています。
「地元のものを使いたい」という思いで、 さまざまな県産素材を追求してきた県内のホテルの料理長が選んだものが「信州サーモン」です。 一般の川魚特有の臭みがなく、 地元の養魚場から新鮮なものが手に入るからこそ、 おすすめは「お造り」。 まろやかな舌触りの芳醇な味わいが楽しめます。
一方で、 西京焼のように、 やわらかい身を生かして旨みをギュッと閉じ込めた焼き物や、 質の良い脂分をさっと焼いて風味豊かに仕上げる土瓶蒸し、 お寿司や酢の物なども提案。 さらに、 中落ちの身をほぐしてすり身にして揚げたり、 そぼろにしてお茶漬けに使ったりと、 信州サーモンの料理の幅は限りがありません。
「“信州のものを食べたらおいしかったよ”と言ってもらえるのがうれしいから」と料理長は信州サーモンを調理する喜びを語ってくれました。 調理方法によって、 さまざまなおいしさを楽しめる「信州サーモン」。 ぜひ味わってみてください。