海のない長野県ならではの魚を開発しようと、平成6年、長野県水産試験場で研究が始まりました。それから4年、育てやすく肉質のよい「ニジマス」と、病気に強い「ブラウントラウト」の組み合わせがうまく養殖できる可能性があることを発見しました。さらに4年の歳月をかけて飼育試験を行い、水産庁から新品種の魚として確認され、平成17年より市場への流通が始まりました。銀色の身体と紅色の身がサーモンを思わせることから名付けられた「信州サーモン」は長い年月をかけて開発された、海のない長野県の自慢の魚です。
「信州サーモン」は染色体操作という開発方法で全国で初めての試みであり、世界的に高く評価されています。
年々おいしさが認められるにつれて生産量が増加しています。
銀色の身体が美しい信州サーモンは、肉質が細かく、脂がのっているのにしつこくなく、トロリととろける舌触りが特徴です。すべてメスでありながら卵を産まない信州サーモンは、成熟・産卵に費やすエネルギーがそのままうまさとなって身に凝縮されるのです。
さらに産卵期がないということが、年間を通じて安定した肉質を保つことにもつながり、一年中おいしくいただくことができます。
信州サーモンは、長野県水産試験場で親から卵を取り出し、約20日で眼が確認できるほどに成長し、約1ヵ月でふ化します。5〜6センチメートルの大きさまで育てられた後、県内の養魚場へと運ばれます。なお、品質管理のため、信州サーモンの親魚の管理、稚魚の生産は長野県水産試験場が行っています。
養魚場では、大きな池で信州サーモンを育てます。毎日エサをやり、池に適量の水が引き込まれているかなど、1日に何度も確認します。2〜3年かけて全長60センチメートル前後にまで大切に育てられて出荷されます。
まろやかな食感と風味を味わえる信州サーモンは、シンプルにお刺身で食べたり、洋風にカルパッチョにしたりと、和洋中を問わず、さまざまな料理で楽しむことができます。信州でしか味わえない、長野県を代表する高級魚として、ホテルや旅館、飲食店などでも取り扱われています。