鯉は縁起の良いものとされ、特に佐久地域では200年以上の養殖の歴史があり、伝統食として親しまれています。昭和初期には全国一の生産量とともに、鯉の博覧会や品評会でも、その優れた品質で日本一の称号を獲得し、その名声を天下にとどろかせてきました。
鯉の寿命は20年ほどといわれていますが、中には70〜80年生きるものもいます。
佐久地域を中心に、県内各地の養魚場では、毎日エサをやり、健康状態をチェックしながら大きくしていきます。2〜3年ほどかけて育てられた「鯉」は、県内の直売所やスーパーなどへ出荷されていきます。
鯉は薬用魚と呼ばれるほど栄養豊富な食材で、「鯉こく」や「洗い」などで食べられています。この他に、鯉のから揚げに甘酢あんをかけた料理などもあります。
一年中おいしい鯉ですが、冬の季節、脂がのり切った寒鯉には格別の旨さがあります。
地域の人たちにとって佐久鯉は伝統的な食材として親しまれてきましたが、骨が多い、淡水魚独特のクセがあるなどのイメージから若い世代では「鯉は苦手」「あまり食べない」という人が増えてきているのが現状です。
そこで最近では「熟成鯉」という新たな食べ方が提案されています。熟成することで旨みが増した佐久鯉を薄く「お造り」に仕立てわさび醤油などでいただきます。長野県水産試験場の研究では48〜72時間熟成した刺身の方が熟成していない刺身に比べて旨みが増し、美味しくなることがわかっています。